寅「ぶんなぐってやる!」
カムカム「僕だって、猫なんだ、ナマズの佃煮にして食べちゃうぞ!」
おひょう「おう、そうじゃ、そうじゃ、やったるで!」
サチコ「まあまあ、お静かに、ナマズ大魔王は、いないみたいよ、他のナマズ達は、うーんなんていうか、大人しそうよ、少し話をして見ましょう。」
ナマズ達が、フンフン鼻を鳴らしている音が、少しずつ近づいてきます。
なんだか、大勢のナマズのようです。
その中で、一番、年寄りらしいナマズが前に出てきました。
長老ナマズ「フンフン、あなた方は、ひろ子さんの、ご一行ですかな?」
ひろ子「はい、私がひろ子です。」
長老ナマズ「ほほう、猫ですなー。猫みたいな方や、そうでない方もいらっしゃる・・」
ひろ子「ナマズ大魔王は、相当な、猫嫌いのご様子。何か、猫に恨みでもおありなのでしょうか?」
長老ナマズ「代々、そういった傾向にあります・・フンフンナマズ大魔王さまは、只今、マグマ神様の、ご機嫌をとりに、真ん中の洞窟に行っております、フンフン。本当の猫嫌いは、マグマ神様なんじゃなー。」
ひろ子「マグマ神様ですか?」
長老ナマズ「そうじゃ、フンフン、マグマ神様が、ご機嫌斜めじゃ、ちょっと、すねておられるんじゃな、フンフン、それを何とか治してもらいたくって、ゴマすりに行っておるんじゃよ。フンフン」
ひろ子「すねているんですか?神様が?」
長老ナマズ「フンフン、ズーっとながいあいだ眠っておられた、フンフンそれが、いきなりたたき起こされたんじゃ、5月に大石が騒いでのう、騒がしかったんじゃよ、それからズーっとご機嫌斜めなんじゃよ。フンフン、それで、この池に今まで流してくれていた温泉の洞窟を閉めてしまったんじゃ。おかげで、この池のナマズは、全員風邪引きじゃ。フンフン。この池は、冷たい山水が流れ込んでおるからなあ。寒いんじゃ。」
ひろ子「それは、お気の毒様です。しかし、なんで猫退治なんでしょう?」
長老ナマズ「フンフン、ご迷惑を、おかけいたしました。猫の方は、驚いているでしょう。フンフン。マグマ神様を、起こしたのが“猫石”でしたからですよ、もう、猫のつく物は何でもかんでも気に入らない・・猫退治を上手にすれば、温泉の洞窟を開けてやるというわけです。フンフン。しかし、ムリなことです。あきらめました。猫の皆様方には、もうしわけございませんでした。」
ひろ子「“猫石”って、あの、あの“猫石”・・」
長老ナマズ「ご存知ですか?フンフン」
ひろ子「エエ、大人しくするのに、骨が折れました。」
おひょう「“猫石”大変じゃったなー」
ひろ子「“猫石”と猫ねえ、別物でしょうに・・」
長老ナマズ「フンフン、理由はどうあれ、とにかく、ナマズ神様はご機嫌斜めなんですフンフン。」
長老ナマズは、とうとう鼻が詰まって、話すことが出来なくなってしまいました、なんだか息苦しそうでした。
ひろ子「ああ、大丈夫ですか?このミントこれがいいんです。」
ひろ子さんが、あわてて、ミントのふたをあけました。
池中爽やかなミントの香りでいっぱいになりました。
すると、長老も長老の後ろに控えていたナマズ達から、大歓声が起こりました。
「おおーおおー鼻が通るぞ!おお、すっきりじゃ!」
長老ナマズ「なんとまあ、ありがたい、頭がスッキリいたします。爽やかじゃ。いやー、ありがたい。」
その時、素早く前に進み出たナマズがおりました。
長老ナマズ「どうしたシャーマン?」
シャーマンなまず「ああ、たった今、お告げがございました。ナマズ神様の、お告げです。これは、是非お伝えしなければなりますまい。」
長老ナマズ「よろしい、皆に聞こえるように話すが良い。」
シャーマンなまず「皆、よく聞いておくれ。ナマズ神様からの、お告げじゃ。“我らの鼻づまりを治すもの、そのもの、救い主である”そう、お告げがありました。」

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