G虹子さんからの、お休みの時間のプレゼントでした。三人と一匹が目覚めると、そこは猫啼温泉のベンチでした。とってもいい気持ちで目が覚めました。そこへ、おいしそうな味噌の焦げる、香ばしい匂いがします。あの、田楽屋さんの屋台がありました。
「おはようございます。虹子さんから、おうかがいしております。皆さん、田楽を、好きなだけ召し上がれ。」
(やっぱり、どこかで、見たことのある人なんだけど、誰だったかしら?思い出せないわ?)ひろ子さんは、なんだか思い出せそうでした。
そのとき、
「はい、どうぞ!」と別の女の人が田楽のお皿を差し出してくれました。その顔を見た瞬間、ひろ子さんの口をついて言葉が出てきました。
ひろ子「幸さん!幸さん!来てた!」
おひょう「幸さん!無事だったか!」
カムカム「よかった、君が、僕らを助けてくれるんだね、天狗の術で・・・」
「え?こう?いやだ、私よサチコよ、どうしたの、その“こう”って?誰?」
カムカム「あー、サチコさんなんだ!本当、そっくり・・」
ひろ子「あーサチコさん、でも一体どうしてここにいるの?」
おひょう「幸さんと一緒じゃ!!同じ顔じゃ。」
サチコ「あーなんかもう、すごい冒険してきたんだ!幸さんって、あーなんか私に深いつながりのある人、そっくりさんなんだ、すごーい、私、占い師だから“ピン”と来る時があるのね、5月の第二日曜日、ひろ子さんの、後をつけたんです、鶴形山のトンネル、ついて行ったんですよ。ヘトヘトになって危うく、遭難しかけて、この田楽屋さんに、助けられたんです。さあ、どんどん食べて、怪物退治に行きましょう!」
ひろ子「あなたも来てくれるの?」
サチコ「もちろん!占い師の血がさわいでいるのよ!」
カムカム「これで、百人力じゃ!」
サチコ「あら?このワンちゃん?このワンちゃん不思議ね・・・」
ひろ子「わかる?ワンちゃんじゃなくて本物の狼なのよ。」
サチコ「ほー狼だからこのパワーなのかしら?なんかすごい。」
朝だというのに空が薄暗くなってきました。
サチコ「あーこりゃまずい、こりゃダメだ、逃げましょう!」
ひろ子「ねえ、それ占い?」
サチコ「そうです、占い師の勘です。」
カムカム「なんか、来たん?」
おひょう「天狗のご先祖持ちの占い師か、たのむで!」

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