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2010/3/1  22:49

【悪夢】  100のお題

 暗闇を歩いていると、ふいに背後から肩を掴まれた。咄嗟に振り払おうとするが、そのまま強い力で引きずられてしまう。懸命に身を捩って抵抗した。

 気付けば、自分に向かって無数の手が伸びてくる。振り払っても振り払っても、一向に消える気配がない。身体が鉛のように重かった。

 このまま訳もわからず滅びていくのだろうか。諦めかけたそのとき、目の前に小さな光が現われる。あたたかで、やさしいその光に、必死で手を伸ばした。

 目を開けると、いつもと同じ天井があった。そこで、タリウスは自分が夢をみていたのだとわかる。

「っ!」

 突然、今度は現実に腕を引っ張られ、心臓がドキッと鳴った。

「みゃぅ…」

 腕を引くと、言葉にならない幼い声が聞こえてきた。

「なんだ、またお前か」

 いつの間にか、小さな弟がベッドへ潜り込んで来ていた。掴まるものを失い、シェールはコロンと転がった。

「しょうがないな」

 弟を捕獲し、毛布に入れてやる。ここに来たということは、彼もまた悪夢をみたのだろう。夢くらいひとりでみてくれ。そんなことを思った。

「ん?」

 弟の柔らかい頬に触れると、人肌のぬくもりが心地よかった。ひょっとしたら、あの光の正体は彼だったのかもしれない。守っているようで、自分のほうこそ守られているのかもしれない。ぼんやりと考えていると、睡魔が襲ってきた。今度はきっと良い夢がみられることだろう。

 了
8



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