ダラダラ中につきカメ更新 感想など、ちょろっとでも書き込んでいただけましたら泣いて喜びます🎵

2011/6/29  21:28

My Dear Dad  小説

慌だしい朝、タリウスは仕事に、シェールは学校にそれぞれ出掛ける時間である。

「ねえ、今日は早く帰って来れる?」

「さあ、どうだろうな」

気のない返事を返しつつ、手際良く上着の釦を留めていく。シェールは父の軍服姿が好きで、また密かに自慢でもあった。

「たまには早く帰って来てくれたっていいのに」

「努力はするが、約束は出来ない」

「そんなあ…」

しかし、こうも仕事が忙しいとなると、別にいつも着てなくとも良いかなと思った。

「話があるなら朝食のときにでもすれば良いだろう。それに、次の休みは一日空けるようにするから」

「次の休みって、夏至のこと?」

毎年夏至の日は祝日になり、どこの街でも大規模な祭が催される。この日にひとりにされないというのは前提条件である。

「それじゃ遅い」

「たった五日かそこらだろう。それが何故待てない?」

「だって」

「いいか、シェール。こんなことを言いたくはないが、俺が働かなければお前を学校にやることも、本を買ってやることも出来ないんだぞ」

「わかってるよ、それくらい」

言われなくても充分理解している。その上で考えがあったのだ。

「だったら聞き分けろ」

しかし、それを説明するにはあまりに時間がない。

「行ってくる。お前も遅刻しないようにちゃんと行けよ」

「はーい」

いってらっしゃい、凛とした背中を見送り、シェールはひとり溜め息をこぼした。

「夏至の日には、家族の人に贈り物をしましょう」

発端となったは、そんな教師のひとことだった。

元々夏至の日には、普段世話になっているひとへ贈り物をする風習がある。ただし、子供をターゲットにしたクリスマスとは異なり、こちらは大人たちだけでひっそりと行われる。それ故、大人の世界を垣間見るようなこの提案に、子供たちは大いに食いついた。

しかし、問題は贈り物の中味である。シェールは小遣いをもらっていない。欲しいものがあれば、その都度タリウスに相談し、それがすぐに叶うこともあれば、我慢を強いられることもあった。

また、彼にはミゼットに頼むという奥の手もあったが、子供ながらにこの方法が反則であるという認識はあり、おいそれと使うわけにはいかなかった。今回の場合も然りだ。

「ねえシェールくん。お金を掛けるだけがプレゼントとは限らないんじゃないかしら」

そんなときに、隣人、ユリアは良き相談相手となってくれた。

「必ずしもそれがものである必要もないと思う」

このことについては、つい先日彼女自身が実証済みである。

「本当に?」

「ええ。実際、シェールくんはよくお女将さんのお手伝いをするでしょう。あれだって一種の贈り物じゃない?喜んでくれているもの」

「おばちゃんに対してはそれでも良いけど、でもお兄ちゃんのお仕事はそうはいかない」

そもそも父の仕事は手の届かないところにある。時々仕事を持ち帰ることもあるが、邪魔をしないのが精々である。

「そうね、じゃあお手紙を書いたら?」

「お兄ちゃんに?何書けば良い?」

「それはシェールくんが考えることよ。難しい?」

「うん、かなり」

思うところはそれこそたくさんあるが、恥ずかしくて、照れくさくて、恐らく一文字も言葉にならないだろう。それきり彼らは沈黙した。

「絵でも、良いかな」

ふいにシェールの脳裏にあることが思い浮かんだ。

「ええもちろん。名案だわ」

今よりも小さかった頃、母に絵を描いてあげたところ殊の外喜んでくれたことがあった。あの頃よりか今のほうが、確実にうまく描ける自信もある。

そうして後は実行に移すだけ、そう思われたが、意外にもこれが難航した。

まっさらな紙をいくら眺めても、父の顔が出てこない。30分、せめて15分でも自分との時間を取ってくれたら、そうしたら見ながら描けるのに。

その願いは届かなかった。

真っ白な紙を前にシェールは今朝のことを思い出していた。あれでは本末転倒である。しかし、考えてみたら、自分だけが悪いわけでもないように思えた。

だいたい父はどうしてああ怒りっぽいのだろう。初めて会った頃はもう少しやさしかった筈だ。

苛立ち紛れに、シェールはペンを走らせる。

頭から伸びた二本の角に、口から飛び出た鋭い牙、つり上がった眉につり上がった目。大きな身体を包むのは漆黒のマントで、左手に鎖鎌、右手には鞭を持たせた。最後に、額に第三の目を入れて完成である。これでこの鬼は何でもお見通しというわけだ。

「うわ、こわー」

我ながらなかなかの迫力だと思った。空いた部分に自分の名前を書いて、ついでにおとうさんへと入れる。

こんなものを贈った日には、ここから叩き出されるだろうな。シェールはもう一度しげしげと鬼の絵を眺め、それから小さく折り畳んだ。

それから慌だしく毎日が過ぎ、明日はいよいよ夏至の日である。

「ただいま」

タリウスはいつものように小声で帰宅を知らせた。愛し子は今日も既に夢の中である。随分と不満が溜まっているようだが、どうにか明日一日は身体を空けた。そのことを多少なりとも評価してくれても罰は当たるまい。

「ん?」

タリウスは自分の枕元にキャンディーがふたつ置いてあるのを見付けた。彼は首を傾げ、そのうちのひとつを摘みあげた。すると、キャンディーの下に手紙のようなものが敷いてあった。

幼い字で綴られていたのはたったひとこと。

「ありがとう、か」

口に出した途端、身体が熱を持った。彼はそれをごまかそうと口の中にキャンディーを放り込む。しかし、すぐにそれが逆効果だとわかる。喉が妬けるほどに甘ったるい。まるで今の心のようだった。

居ても立ってもいられず、シェールの側へ寄った。

そのとき、ベッドと壁の隙間に一瞬何かが光ったように見えた。手燭の光を壁に照らすと、なにやら紙が挟まっているようだった。

かつてこの場所からは、悪戯の成果物が発見されている。今日は目をつぶろう、そう思ったが、結局は好奇心に負けてしまう。

「なんだこれは」

小さく畳まれた紙から、不気味な鬼が睨み付けてくる。しかも、ご丁寧に自分宛である。

「そうか、お前にはこう見えていたのか」

くくく、彼は声を殺しひとしきり笑った。

一夜が明け、彼らは夏至の日を迎えた。

「おはよう」

「おはよ…」

シェールは上半身を起こし、眠い目をこすった。お陰様で今朝の父は機嫌が良さそうである。

「昨日はありがとう」

「うん」

喜んでもらえて、本当は自分も嬉しかったのだが、どうにも照れくさくてつい目が泳ぐ。

「ちょ…ええっ!?」

すると、視界の端にとんでもないものが映った。

「なかなか上手だったから飾ることにした」

「うそ…」

どういうわけかあの鬼の絵が壁に貼られている。

「俺にくれたのだろう?」

「いや、そういうわけじゃ…」

「そうか。おとうさんとは誰のことだ?」

「そ、そこは合ってる。でもそうじゃなくって」

頭が回らないのは起き抜けのせいばかりではない。が、ともかくそういうことにしておこう。

「これは戒めだ」

「………良い子でいないとまたこうなっちゃうよってこと?」

「違う」

父は笑った。その様子は正におかしくてたまらないといったふうである。そんな姿を見るのは久しぶりだ。

「こうならないように気を付けようと思っただけだ」

「ふうん」

ともあれ喜んでくれたのなら何でも良いか。たで食う虫も好き好きという奴である。





コマギレでスミマセンm(_ _)m時季を外しそうだったので、とりあえずここに。
3

2011/6/27  18:18

本日二個目の日記  そらごと

先日、スパ絡みで知り合ったお友達が遊びに来てくれた。敢えてスパのお友達、と書かなかったのは、あんまりスパの話をしなかったのにすごく楽しかったから。多分もうスパのお友達を超えたのかな、って思ったから。

実は彼女と会うのは数回目、それも今までは複数でしか会ったことがない。だからこそ、ふたりでゆっくり話してみたくて、丁度彼女に渡すものもあったため、良かったらいらしてと声を掛けた。

なんというか、とても素敵な人だった。

似ている部分もそうでない部分もあって、何が嬉しいって、それをありのままに話してくれた。心を開いてくれたんだってわかったら、こちらもかなり武装解除、本心を言っても良いのかなって。もちろん、そこで出してくれたのが彼女のすべてとは思わないけど、まったりとお茶を飲みながら語ってくれたことが、すべて偽りで構成されているとも思えないから。

楽しくて、楽しくて、でも楽しかっただけではなくて、自分というものにもちょっとだけ気付かされた。彼女があまりにも素直な人だったから。

うらやましいって感情は、劣等感のあらわれみたいでマイナスなものだと思っていた。だから、明らかにあるのに、ないことにしていた。だけど、彼女はあっさりとそれを表現した。彼女かて悩んでいないわけではないのに。

なんとなくつられて言葉にしたら、そんなに大したことでもなかった。なんかちょっと楽になった。

自己肯定感が低いくせに、自尊心が高い。

私が見返したいと思っている人たちは、端から私のことなど見ていない。今更ながらそうわかったとき、結構笑えた。

良き出逢いに感謝。
5

2011/6/27  17:20

F/f,f,f..  そらごと

ここのところ、とんとスパ欲がないです。暑さにやられたせいかな。どうにも人肌がうっとうしい(苦笑)。

ただ、叩かれたいとか叱られたいとか思わないだけで、相変わらず視覚的にはスパを求めているらしく、昨夜もスパイラがひたすら貼ってあるスレをニマニマしながら観賞していました。相棒に見つかってちょいと気まずかったですが、何食わぬ顔で隣に呼んで、残りは一緒に見ました。

で、ふと、どうでもいいことを思い出しました。

もしかしたら以前にもどこかで(mixiかメイドブログあたりで)書いたかもしれないのですが・・・

今の職場に、ひとまわりほど歳の離れた同性の先輩がいて、その人とは職種が違うせいか全然上下関係になくて、かなり仲良くしてもらっています。それで、少し前に、お互いに同じ高校を出でいることがわかり、結構盛り上がりました。私学なので殆ど先生が変わっていないんですね。

ひとしきり、あの先生知ってる?とか言い合ったのですが、一番聞きたかった3年のときの担任については聞けなかったのです。いや、何故ってペンペンするひとだったので、なんとなく恥ずかしくて(笑)。

私自身は未経験で、目撃したこともないんですけど、仲良しさんが1年のときに彼女のクラスで、二度ほど犠牲になったそうです。なんでも1年生しかペンペンしないらしく、今考えても非常に残念な限りです。

そのひとは豹柄とか虎柄とかが大好きで、怒らすと厄介でしたけど、普段は気の良いおばちゃん先生でした。どういうわけか私は好かれており、進路が決まった後には、ちょくちょくお茶に呼ばれたりもしていました。かえすがえすももったいない。

前置きが長くなりましたが、今回は友人がそのひとにされたスパ話をしますね。

1年生の初めに、移動教室みたいな宿泊行事があって、そこでのミーティングの折、先生が「筆記用具としおりを持って集合しなさいと」と言ったそうです。まあみんなそのとおりにしますわな。で、ミーティングが始まり、先生が言ったのが「生徒手帳の○ページを開きなさい」だったそうで、その場がちょっとだけ騒然としたそうです。「聞いてないよ」みたいな。因みに生徒手帳を持っていたのは、1クラス中確か3人。

そこで先生は、貴重品と生徒手帳は何も言われずともデフォルトで持ってくるべきと主張し、「1分で取って来い」と怒鳴ったらしい。なんでも生徒手帳の中には生徒証が入っていて、その生徒証には「常に携帯せよ」と書かれているのが理由だとか。いや〜完璧なネタです。

で、パタパタと戻ってきた生徒たちを待っていたのが、おばちゃん先生のペン。ひとりひとり先生の前に屈んで叩かれたそうです。その友人いわく、「ジャージの上からのくせに痛い」で、後に彼女は教室でも何やら失態をしてしまったそうで、スカートの上からもぴしゃりとやられたとか。

その話を聞いた当時は、「災難だったねー」とか言っただろうけど、内心は・・・。思うに、お仕置き執行中も結構コミカルな感じだったと思うので、十数人がぺん!とされたその中のひとりになら、なりたかったなぁ。
7

2011/6/20  19:30

好き。  そらごと

珍しく土日とも家にいたので、のんびり家事をしつつ、だらだらと「邂逅」を書き上げました。久しぶりの1万字越え、原稿用紙にして31枚の大作です。

んが、書いているほうとしてはそれをあまり感じず、とにかく楽しくて止まらない、みたいな。後半かなりぶっこわれてきましたけど、やっぱりオニ先生大好きです。

レイドのスパシーンの後で、「これまでゼインは苦手だったけど今回見直しました」みたいなメッセージをいただき、にんまり。

なんとなーく、苦手だってお気持ちもわかるような、わからないような。いつだって余裕たっぷりで自信たっぷりで、上からで。何サマなんだよ、な感じでしょうか。いや、ゼインさまさまなんですけど。

逆境が人を作るということを知っているから。嫌われてなんぼなんです、このひとは。


さてさて、話は変わりまして。ここ最近、年度替わりでお使いが多く、図書館で適当に本を借りては読みながら出掛けています。

なので、先日のお使いの折りにも、奥田英朗先生の「純平、考え直せ」を連れて行きました。舞台はいわゆる仁侠系なんだけれど、主人公の下足番みたいな男の子と、その兄貴のやりとりがなかなかツボなんです。兄貴に憧れる少年とか、兄貴に叱られる少年とか。鉄拳制裁なんですけど、妄想の余地はあります(笑)。

そもそも、この奥田先生との出会いは休職時代。

洋服や雑貨には一切興味がなくなるし、食べ物は見ると気持ち悪いしで、病院以外は日がな一日引きこもる生活を送っていました。

初期の頃はとにかく集中力が皆無で、読書に逃げることも出来ず。マリみて一冊読むのに一週間掛かっていたほどでした。

それが徐々に回復していって、家族や友人に借りた本に手を出し、それを読み尽くして。さてどうしようかなと思っていたところ、図書館が殊の外近所にあることが判明して、夫とふたりで図書館通いを始めました。

そこでまず初めに手に取ったのが、奥田英朗先生の「家日和」でした。

短編だし、読みやすいかなと思って借りたんだけど、これがもうヒットで、ひとりきりの自宅で大爆笑。なんで私、病んでるんだっけ?みたいな心地になりました。

それから関口尚とか妹尾まいことかを読みつつ、またしても奥田先生の「サウスバウンズ」を手にとる。これがもうむちゃくちゃ笑えて、夕飯作るのも食べるのもそっちのけで、夢中になって読みましたね。何かにはまるという感覚を思い出した瞬間でした。

結論、好きなものにはまれるようになれば、きっともう大丈夫。そんなわけで、もうすぐ復職して二年が経ちます。


拍手レス☆
5

2011/6/16  23:17

邂逅  そらごと

【かいこう】

[名](スル)思いがけなく出あうこと。偶然の出あい。めぐりあい。「旧友と―する」

以上、「デジタル大辞泉」より引用



今回のお話は本編に置いてあるものの、あんまり本編ぽくなく、そして、とめどなく長くなりそうな予感です。既に5000字オーバー、しかし未だスパシーンに到達せず。

えーと、早い話がゼイン祭りです。

なんとなーく湿った空気が漂っていて、数少ないゼイン好きさん(笑)におかれましても、お楽しみいただけるかどうか謎ですが、、、ゆるゆるとお付き合いいただけましたら幸いです。

元々は番外にでもちょろっと書ければ良いかなと思っていたネタでした。が、気付けば本編と番外との間が詰まってきて、世に送り出すなら今だなと思いました。人物メモのページにある「書かれていない設定」の中味になります。


ともあれ、私は彼のことがとてつもなく好きで、ここのところ毎日ウキウキしながら活字を書いています。
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