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2010/4/11  14:37

【目覚め】  100のお題

 本科生の卒校から、次の予科生の入校までの間、国内すべての士官学校が閉鎖される。この間、予科生は例外なく家に帰された。表向きは、本格的な戦闘訓練へ入る前に彼らに英気を養わせることを目的としているが、実際のところは教官へ休暇を取らせるためにしている。本科生に最後の梃入れをし、その間に新たに予科生となるべく少年たちを選抜する。この時期は、流石の鬼たちもクタクタに疲弊するのだ。

 そんな鬼のひとり、タリウスは妻と共に遅めの朝食を摂るところだった。

「シェール、起きてきませんね。疲れているんでしょうけど、昨日もそのまま寝てしまったし」

 妻は食事のセッティングの済んだ空席に目をやり、ちょっと見てきてくださらないと言った。 

「わかった」

 彼は返事を返し、席を立った。


「シェール、起きろ」

 戸を叩きながら何度か声を掛けるが反応がない。

「入るよ」

 戸を開けベッドへ視線を落とすと、すやすやと眠りこける弟の姿があった。時を経ても、無邪気な寝顔は少しも変わらない。半分だけクッションに埋もれた弟の横顔を見ながら、過ぎ去りし日のことが思い起こされる。この天使の笑みの裏に隠された小悪魔の顔に、随分と手を焼いたものだ。そう考えると、たまにはいいかなと彼の中で少しだけ規範意識が薄れた。そうなると、珍しく湧き上がってきた悪戯心を抑えることがもう出来ない。

「起きろ!シェール=マクレリイ!いつまで寝ている!」

 その独特の発声に、文字通りシェールはベッドから飛び起きた。

「申し訳ありませ………って、お兄ちゃん」

 うそでしょう、とシェールは仰向けでベッドへ倒れこむ。兄はニヤリと笑った。

「おはよう。気分はどうだ?」

「最低」

 むくれる弟を尻目に、そうか、とタリウスは悪びれる様子もない。

「そうかじゃないよ。もう、勘弁してよね」

「お前がなかなか起きてこないからだろう」

「だからって、心臓が止まるかと思った」

 先生かと思ったし、と呟き、先生なんだろうけど、と更に呟く。彼もまた、昨年から地方の士官学校へ入校していた。

「とにかく一度起きてきなさい。食事をしてからまた眠れば良いだろう」

「わかった。すぐに行くよ」

 いくつになっても兄には敵わない。それどころか、少し見ないうちに性格が悪くなったのではないかと、シェールは頭を抱えた。

 了
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