当日。
ぐっすり眠った。
再注文した昨日の夕飯、カレーライス。まぁ、ほぼ食べられた。ただ、ルーが、パインの缶詰を煮詰めたみたいにもんのすごっく甘くって、どう解釈して胃に落としたらいいのか迷ったけど、途中からカレーだと思うのをやめ、どこかトロピカルな国のよくある食べ物だ、と思うことにした。おいしい。
食事もちゃんとできたし、薬も注射も効いて、朝はすっかり元気。
ツアーでこんなに体調くずさに当日を迎えるのもめずらしい。いつもならあたし一人で格闘しているところ、みんな一気に具合悪くなってくれたおかげでお医者さんにまで診てもらえて、今回はすっかり万全。逆に、普段の調子の悪さを再認識。
朝食後、一人で歌いにいく。
雨まじりだったけど、いい雰囲気で、土と、空と、風と。
一曲、曲らしきものを歌ってみると自分のダメさがわかる。
ダメさと、体の起きてなさを確認しつつ、ホテルへ。
ホテルの人に針と糸をかりで、ケルンで買ったボタンをコートにつける。
身支度整え、羽も準備して会場へ向かう。
晴れていれば
イメージできるメールスはたーくさんあった。真っ青な芝生の上、犬コロみたいに転がりまわって、プールに飛びこんだっていい。
Tシャツもそのつもりで準備してきた。のに。
もう寒くて寒くて、芝生なんか見えないし、テントの外で何が起こっているのかなんて、全然入ってこなかった。真っ赤なスエード脱ぐことができず、じーっと暗い屋根の下にいるだけ。
屋根の下テントの中。でもね、今回、これがすんごくおもしろかったんだ。
入れ替わり立ち代り人が来るでしょ。あたしはずーーっと座ってる。おんなじ場所。
10人だったり、3人だったり、2人になったり。
10人いても話し込んでるのは延々2人だったり、気が付くとさっきまでの10人と顔ぶれが全く変わってたり
話す相手によってスピードが全然違って。あんまり速いと、同席してた人が具合悪くなっちゃったり。
この日の演奏は、曜日の都合で後には延ばせない。9時以降は音だしちゃダメとかそんな感じ。
前のバンドまでがどんどん押して、渋さの時間は結局70分くらいかというウワサが流れる。
お世話になったブーカルトの最後のメールスだし、おととい電車でメールスに来るお客さんの中にいて、ああやって皆楽しみにして集まって来るのを見ると、たとえ何分間の演奏であってもちゃんとやらなくてはと思う半面、ピーファンクは4時間もやってたのにぐううううーー
と思ったりもする。
何分押しで始まったのか。
メールスはサウンドチェックがあたしは一番もりあがる。
幕がしてあって何も見えない中、「サックスフォン5、サックスフォン6、・・・」いつもこの辺になると、一体何人いるんだーって感じで、会場から喝采がおこる。時間もかかるし、お客さんは超満員になってるし。
今年は加藤さんや渋谷さんがいなかったから、サウンドチェックのヘンな音出したまま本番に入っちゃうってことはなかったね。
〆るつもりで、本番は精一杯やらせていただきました。
3年前と同様
終了後数十分、テント内は本田工務店のテーマの大合唱が止まらなかった。
ここで生まれたあたしのこの羽は、もう飛び回ることはないんだろうか。
この羽のあたしは、過去に数十個グラスを割っている暴れん坊なので、今回乾杯のためにに用意されたのは紙コップだった。
乾杯かんぱいカンパーイ!
音 音
聞こえないけど乾杯のあの音は、もうすでに、これから続けていきたいことの音。新しく作っていきたいことの音。