「おぉ〜い! オレ様ぁ〜
コレ、合わせといてくれぇ〜!」
とても、いいヒト U松先輩 が、そう言って、涙腺が弛むほどにスゴく
チャッチィ ソーラーパワーの腕時計を、オレ様に渡すのだ!
文字数オーバー と フリーズ によって、投稿を拒まれた U松先輩の話し である!
「ハイッ! 分かりましたっ!」
「おぉ〜 頼むでぇ〜
1秒の狂いも無く、ピッタリ合わせといてくれぇ〜!」
そんなこと言われても、ココは駒沢体育館!
試合の準備のため、駒沢体育館にいたのだ!
当時は携帯電話など無いので、ピッタリ合わせる材料が無いのだ!
しょうがないから、体育館の時計で合わせといたよ!!
「先輩っ! 合わせときました!」
「オゥッシ! スマンのぉ〜
おい! コレ、1秒の狂いも無いやろうのぉ〜?
時報の ピッピッピッ ポ〜ン の ポ〜ン とピッタリ合わなぁ〜 アカンのやでぇ〜」
「カンペキですっ! 抜かりはありません!」
「そうかそうか!
オマエはたいしたヤッチャのぉ〜」
まあ、20秒くらいの誤差があるんぢゃないかな?
でも、命に別状ないし………
そしてそれから10分も経たないウチに………
「おぉ〜い! オレ様ぁ〜
また、頼むでぇ〜!」
え? なんで??
さっきセットしたばっかりぢゃん????
「1秒の狂いも無く やでぇ〜!」
「……… あ、ハイ………」
で、またセット!!
「先輩、できました……」
「おぉ〜 ワリィのぉ〜」
そしてまたまた10分も経たないウチに……
「おぉ〜い! また、頼むでぇ〜!」
なんなんだ、コレは??
「頼むでぇ〜
1秒の狂いも無く合わせられるんは、オマエしかいないんやぁ〜」
殺し文句?? 後輩に? 男に??
「あのぉ〜 先輩…
さっき合わせたのに、なんでですかぁ?」
「おぉ〜 それがやのぉ〜
腕組みしたあと時計見ると、スデに消えとるんやぁ〜!」
なんだ、ソリャ??
腕組みしたとき、ソーラー電池の部分が腕の下に隠れて、光を失った時計のデジタル表示が消えちゃうんだって!!
ダメぢゃん!!
「先輩、ソレってダメぢゃないッスか…
時間の分からない時計 って…
ちゃんとしたヤツ、買ったらいいぢゃないッスかぁ……」
虫ケラ の1年が、3年の 人間 に意見しちゃった!!
「おぉ〜 そうなんやけどなぁ〜
実はこの前、ずっと欲しかった念願の時計を買ったんやぁ〜
タグホイヤーのダイバーウォッチ なんやけどのぉ〜
8万円 したんやぁ〜!!」
今もそうだが、当時のオレ様にとって、時計ごときに8万もの大金を払うなんて、理解できなかった……
まあ、でも本人が欲しくて買ったわけだからいいんだけどネ!
「8万もしたんッスか!!!
ぢゃあ、どうしてその タグホイヤー しないんッスか??」
当然の疑問だろう。
この疑問に対する、このあとの U松先輩の答え に、オレ様は駒沢体育館内で
キャッキャ キャッキャ 笑い転げてしまった!!
「おぉ〜 オレ様ぁ〜 聞いてくれぇ〜
実はこの前、大学のシャワーに入ったんやけどな〜
脱いだ服の上にタグホイヤーを置いとった んやぁ〜
ほんで、シャワー浴び終わって出てきたら……
盗まれとったんやぁ〜」
ええぇ〜〜〜〜っ!!
「なんで 8万円 もするモノを放置するんッスか〜
服にくるんどけば良かったぢゃないッスか〜」
?????????????
イヤ、待てよ!!
何かが違う。。
この違和感は何だろう???
そうか! 問題は ソコ ぢゃないのだ!!
「先輩! シャワー浴びるときに、何で ダイバーウォッチ はずす必要があったんッスか?」
ダイバーウォッチの意味、まるでねぇぢゃん!!
「そうなんやゃ〜 失敗したんやぁ〜
つい、いつものクセで、はずしてしもうたんやぁ〜」
「ってことは、今してる すぐに消えちゃうソーラー時計 が、いつもの時計だった ってわけッスね?」
「イヤ! 違うんやぁ〜
コレはワシのやないんやぁ〜
タグホイヤーが消えた代わりに、コレが服の上に置いてあったんやぁ〜」
ウ〜ッヒャッヒャッヒャッヒャッ!
おもしろ過ぎる!!
犯人は、ただ単に盗っただけぢゃないのだ!!
犯人は、、、
8万円のタグホイヤー を頂戴した代わりに
涙腺が弛むほどチャッチィ、ソーラー時計 を残していったのだ!
なんという良心的な犯人なんだろう。。。
つまり、U松先輩は、、、、
そのどうしょうもないソーラー時計を
8万円で買った ってことになるのだ!!
そう考えると、ただ単に盗まれただけ の方が、まだ幸せだったというか、あきらめがつくというか……
U松先輩の卒業後、18年間、まだ1度もお会いする機会が無い……
U松先輩! お元気でしょうか?
きっと、生徒に親しまれる いい先生 やってるんでしょうね。。。

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