全く誤差なく、あたしの気持ちに入ってくる人。
第一声「彩、大変だったな。オヤジ。 」
ほんとに、一緒に旅してるんだと分かる。再会を心待ちにしていた。
ヤスとなおちゃんに会えたことにも、ものすごく喜んでいた。
あの人にとっては、こういうことは全部ものすごく意味があることで、出会い一個一個が彼の役目みたい。
そこにもう一人、普通に人が帰ってきたり
みんなそこの家は初めてらしいんだけど、みんなどういう人なのか、おもしろすぎてどうでもよかった。
不破はどうしてる、
なんて話してるところに不破さんから電話。わりと近くで飲んでいるらしく、そっちに合流することに。
タクシーの中で話したことがすごく響いた。
「沈黙していても、ことは起こる ということなんだよ。」
音楽についての話からだった。要するに、売れるか売れないかとか、人にウケるかウケないかとかいうことは全く真髄に関係なく、やっていくことはことを成し、始まりだす、というようなことだった。
行ってみるとそっちもかなり大宴会。
國仲さんは一番奥にいる不破さんを見つけてまっすぐに突っ込んで行った。
あとは南のクマと北のクマが出会っちゃったとこで、そりゃもう大騒ぎ。
終盤、久高島でライブをするという話がでると、それまであたしの目の前でがんがんにカラオケ歌ってたさっきの陽気な家主が、急にテーブルに顔をくっつけんばかりの勢いでテンション下がり、なんにも言わなくなってしまった。
ようやく小声で何か言い出したのを聞くと、久高島でライブをやるっていうのは、特別な信仰心のない人でも、嫌な気分になるらしい。みっともないですよ、って言われた。
出会った時、辺野古でのライブのことに対してあんなに喜んで感謝してくれた人だ。
やる側のあたしたちは、辺野古のライブも久高島のライブも、全く意識に違いはない。
フアーっと、なにかが冷めていった。そういうことなのだ。
これは、現地に入らないと分かりようもなく、しかもどの程度のことなのかっていうのは、こうやって皮膚を通さないと温度がわからなかったりする。
あたしたちは、やるだろう、
こんなに沖縄の現地の人たちにいやな思いをさせてまで、無知という刃物をあどけなく振り回して、静かに保たれていたバランスを、ぶち壊しに行くのだ。
自分のやっていることが、アメリカ的すぎて、目が冴えて、出ない回答をずーっと待っていた。