この日、静岡のエコパで行われたキリンカップサッカー、日本×モンテネグロ戦にアルビレックス新潟の矢野貴章選手がフォワードで先発、ハンブルクFCの高原とツートップを組んだ。
矢野にとっては国際親善マッチペルー戦に交代で出場して以来の2試合目の国際Aマッチ出場だった。シュートは1本のみ、必ずしもベストパフォーマンスだったわけではないが、スペースを作る役割として高原のマークを外す重要な仕事ぶりで、ある程度期待に応える結果ではあった。
日本代表のオシム監督は、柏時代から矢野に注目をしていた節がある。昨年のアジアカップ予選の際にも予備登録されていたし、記者から名前が出ていないにもかかわらず、「それなら誰をメンバーに入れるというのですか、矢野ですか」とオシム自ら名前を挙げていた程だった。
矢野が昨年後半以降、新潟で献身的な運動量で得点を重ね、ついに本当に日本代表に呼ばれるようになったのは今年に入ってから。そしてついに先発出場である。
オシムはその言動の曖昧さと異なり、メンバー選出はかなり意図がわかりやすい。彼が巻を選ぶのはその運動量によってスペースを生む仕事を託しているからであり、ペルー戦の後半、動きの鈍ってきた巻に代えて矢野を投入したのは、同じ役割を矢野にも担って欲しいからであろう。
今回のキリンカップでも、矢野を先発で使い、高原とのコンビネーションを推し量ったのは当然のことである。短い期間で試合をこなさねばならない、ワールドカップ本番では、巻がフル出場するのは難しいと考えているのだろう。
この日の試合をTV観戦した限りでは、やはりいいクロスが入り、運動能力の高い選手がサポートに入ることで、より矢野の前線での献身が効果的になる、ということである。矢野はたとえ点を取らなくとも、そうしたプレーで代表に貢献できる選手なのである。
翻って新潟というチームでの役割を考えたとき、エジミウソンが調子を上げてくることが矢野との相乗効果で相手チームに多大な脅威となるであろう。前節の磐田戦では、まさにそのことを証明してくれたのである。代表の次のコロンビア戦では、多分巻が先発するだろうが、矢野も代表で活躍し、チームにフィードバックしてくれるだろうことがとても楽しみになってきた。

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