2017/12/2




「ハワーズ・エンド」と言えば、E.M. フォースター原作の1992年の映画でしたが、BBCがミニ・シリーズで(4話構成)ドラマ化、今イギリスで放送中というのでやっと2話まで見ました。

映画版はエマ・トンプソンとヘレナ・ボナム・カーターという当時ノリに乗っていた人気女優を姉妹役に、アンソニー・ホプキンスをエマの結婚相手に出してこれ以外のキャストは考えられない、と思っていたのですが、

今、もう映画の細部は忘れてドラマを新たな目で見てみたら、主役マーガレットのヘイリーを初め、とてもストーリーにぴったりな俳優たちで面白いです。

とはいえ私の知る俳優は、有名なトレイシー・ウルマン(マーガレットの叔母)以外には、「イミテーション・ゲーム」の少年アラン役アレックス・ロウザーと「ナショナルシアター・ライブ/お気に召すまま」のオーランド役ジョー・バニスターだけなのですが、

このふたりが役にぴったりで、特にアレックス・ロウザーはマーガレットの弟として、オックスフォード在学中アウトロー、一家の甘えん坊、まるで「ブライズヘッド再訪」の放蕩息子セバスチャンから毒を抜いたような男の子を好演していて必見です。

ジョー・バニスターも時代劇がとてもお似合いでお金持ちの長男役にぴったり。


遅くなりましたが、ストーリーは、ビジネスマンの主人率いる富豪ウィルコックス家、半分ドイツ人の中産階級の3兄弟シュレーゲル家、中流の下のバスト家の3家族が絡み合いながら進みます。

これが今見ると、ドラマで尺が長いせいもあり映画を見た時よりも大変にわかりやすいです。

というのも、100年前のセピア調な色合いのイギリスで、自由な家風のシュレーゲル家の3人には赤い衣装を効果的に着せていることが大きいです。赤という色だけでなく、なんとなくマーガレットとヘレン姉妹の服装は今で言ったらBOHOと言われるヒッピー風な要素を取り入れながらも全体のコーディネイトで汚くはならず洗練されたカジュアルファッション。

それに長女マーガレットをヘイリーがやるのでエマ・トンプソンに比べるとしっかりものの姉ながらも生き生きとした、ウィルコックス家の伝統的な女性とはぜんぜん違うのです。

富豪ウィルコックス家の奥様も、映画の奥様よりも、当時の女性らしく政治や仕事は男性に任せて、と言いながらも一家で一番権力を持ち存在感があった様子が現代的でステキな女性です。田舎の家=ハワーズ・エンドは彼女が生まれ育った家なので、おそらくやり手のご主人よりも元々家の格が奥様の実家が高かったのではと思いました。ご主人が奥様をたいへん愛してたのもありますが。


あと、ひとつ私が個人的に映画を見た時に誤解していたことがわかりました。

それは、レナード・バストの階級で、25年前、彼を労働者階級だと思っていたのですね。

ウィルコックス家は田舎にハワーズ・エンドという家を持ち、ロンドンにフラットを持つという典型的なイギリスのお金持ちの、ただ主人はビジネスマンで貴族ではありませんので中流の上。

シュレーゲル家は、家はロンドンのフラットを賃貸しているのですが、姉妹は無職でも末っ子がオックスフォードに行くほどには裕福なんですね。フラットもウィルコックスのと同じ通りにありますので高級住宅地なのです。おそらく兄弟の亡くなった両親の資産があるのでしょうね。とはいえ「男性は仕事を持たなくては」と姉が自分も家でフラフラしてオックスフォードには戻りたくないという弟を諭してますので、家は典型的な中産階級ですよね。ドイツ人のお父さんのせいでイギリスのしがらみからはかなり自由なのでしょうけど。

それに比べバスト家のフラットは、狭い通りをクネクネと入り、地下にくり抜いた部分にある暗くて狭そうなところ。着ているものや持ち物はあちこち擦り切れて、確か保険会社で働いているのですがギリギリの生活ということがよくわかります。

私はその昔、イギリスではあの時代、ふつうの労働者もジェントルマンのようなキチンとした服装をしていたんだと思ってしまっていたのですね、なぜか。

でもよく考えたら事務員はホワイトカラーで、ギリギリ中流に引っかかってた。だからベートーベンのコンサートへ行ったり本を読むといった芸術的な活動もする人もいたわけです。

しかしドラマのレナード・バストの奥さんというか婚約者はなんと有色人種で、かなり私も驚きました。なんらかの理由があって彼が責任を取る形で一緒になっている感があるのですが、まだその理由は明かされていません。もしかしたら事務員になるくらいの教養はあるよう育てられたのに、有色人種の女性との関係のために彼の両親から勘当されたのかしら、いやご両親は亡くなっているのか、その辺もわかりません。

残り後半2話も楽しみです!!



1



2017/12/4  22:19

投稿者:しましま

hedgehogさん

いや〜本当に見逃さないでよかったと思ってます。

>>こんなに楽しめるとは正直意外

あはは!ヘイリーのマーガレットが自然体だからでしょうか、
いや、全体的にトーンが明るいような。演出ですかね。

>>レナードって労働者階級じゃなかった

実は私もイギリスの記事を読んで知ったんです!びっくりでした。
ドラマ版では、あの奥さんのこと、今はコレッポチも愛してませんよね。
もう義務感だけで一緒に住んでるだけみたいな。
レナードはもうとことんオドオドして

>>ますます悲哀が漂う……(涙)

もうその通り!!!

2017/12/4  21:16

投稿者:hedgehog

しましまさん

テレビドラマ版「ハワーズ・エンド」、おもしろいですよねー! こんなに楽しめるとは正直意外でした。

>レナード・バストの階級で、25年前、彼を労働者階級だと思っていたのですね。

う。レナードって労働者階級じゃなかったんですね。私はてっきりそうだと……(汗)。

>だからベートーベンのコンサートへ行ったり本を読むといった芸術的な活動もする人もいたわけです。

なるほど。確かに映画のレナードよりはテレビドラマのレナードのほうが「もともとはもう少し良い家の出だったけど、恋に落ちた相手の問題もあって苦しい生活をせざるを得なくなった」感はありますね。それだけにますます悲哀が漂う……(涙)。

http://ameblo.jp/hedgehog42/

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ