あの子がいなくなったのは夢を見た翌日。晴れた朝。同じ笑顔で、いつもと同じ微笑みで、でもその時にはいなくなることを知っていた。あの子。
きれいに晴れた朝だったので、しばらくするとタンポポが白くふわふわ飛ぶだろうなどと、たわむれにあの子に言ってみる。首を傾げたままやっぱり微笑んでいる。夢を見た翌日だから、とてもくっきりした思い出だ。花が咲く季節はいつも明るく、目を瞑っていても、空は青いだろうと、風は静かだろうと心は知っているから、たまにはずっと目を瞑ったままでいてもいいだろう。そして長い夢を見ていても。
夢は何年間も続いたのかも知れない。それとも目を開けたままでも、ずっと夢を見ていたのかも。あの子の夢を。
ある朝目を覚ますと、あの子がいなくなっていた。
夢を見た翌日。あの子がずっといっしょにいる夢を見ていた。長い間。
ある日目を覚ますと、あの子がいなくなっていた。あの子がいた夢。長い長い夢。
それとも今がもうひとつの夢で。あの子がいないという。
そして今この世の果てまで新しい夢を見る。ガラスの橋のかかる虹色の草はらの袂で、あの子が待っている夢を。

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