2010/2/9
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。
同じ大学出身で同い年の
専業主婦 田村小夜子と女社長 楢崎葵。
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田村小夜子。35歳。5年前に勤め先での人間関係に疲れて寿退社をした彼女は、以来、家に籠もって出会いのない日々を送ってきた。夫、娘、そして嫌味ばかりを口にする姑。この3人が彼女を取り巻く世界の全構成員と言っても過言ではない。外で友達と息抜きをすることもなく、それどころか公園デビューにつまずいたことが尾を引いて、最近では他者と交わる気力自体失いかけている。
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楢崎葵。35歳。大学卒業と同時に旅行事務所を興し、軌道に乗ったところで有限会社を立ち上げた女社長。
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(解説より)
■田村小夜子
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当時(高校時代)の友達づきあいをふりかえると、なぜあんなにも疎ましいほどに濃密な関係に耐えられてのだろうと怪訝に思う一方、なぜあんなにも必要としていたその濃密さを卒業と同時に失うことができたのだろうと不思議に思う。
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あまり気が進まなかったが、小夜子は(ママ友達に)誘われるままファミリーレストランに入った。(中略)
唐突にはじまった働くママバッシングにもあいまいに相槌を打ちながら、小夜子は既視感を覚える。
机をくっつけて弁当を食べていた高校生のころとまったくかわらない。架空の敵をつくり、いっとき強く団結する。けれどその団結が、驚くほど脆いことも小夜子は知っている。
(さきに席を立った小夜子は)今ごろ、在宅業ママから自分に話題は変わってるかもな、とちらりと思い、どうでもいいやと思いなおす。
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■楢崎葵
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気がついてみれば社員より安い賃金しか得られなくなって、30半ばになっていた。そして葵は、以前には感じなかった不安に足元を揺さぶられるようになった。
人とかかわることに疲れている自分がいた。人を雇い彼らと共に働くことは、できることできないことを単純に分散させるのとはわけが違った。適当に仕事を怠け不満ばかり並べたてる。笑顔で近づいてきて、仕事を横取りしていく。自分の欠点は棚に上げ、こちらの非ばかり言い募る。葵の過去を何も知らないはずの人々は、いつのまにかそれをどこかで小耳に挟み、奇妙な好奇心で立ち入ってくる。(中略)
私のできないことのなかに、人と関わるという根本的なことも含まれているのではないか。そう思いついて葵はぞっとした。
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立場も性格も対照的なふたりが、それぞれに人と関わることに不安を感じながら生きている。
非常に共感できる内容でした。
頼れる人もおらず自分の居場所がない辛さ、そういった女性の気持ちがうまく表現されていました。
勇気を持って一歩踏み出し、人と関わっていく大切さを
感じさせてくれる作品でした。

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