自慢にはなりませんが、我が家では、親の権威がほとんどありません。
別に、一昔前に流行った「友だち親子」というわけではありません。しかし、NANAを見る限り、「親の言うことには従わなければ…」という意識は、極めて薄い気がします。
これは、NANAが生来、頑固でこだわりの強い性格であるためですが、私たち親のほうが、「親の言うことは聞きなさい」式の教育を意識的に避けてきたためでもあります。
もちろん、「ダメなものはダメ」という、理屈抜きの躾もしましたし、聖人君子ではありませんから、自らの感情の赴くままに、ただ「怒った」という経験もあります。また、一時期は、NANAの「わがまま」に振り回された私が、周囲の目を気にして、「親の力」を用いる教育に走ったこともありました。
けれど、総じて、我が家では、「大人が常に正しいとは限らない」と教えてきました。
もし、私たち親が一致して「正しい」と思っていることがあっても、「親のいうことだから」という理由づけを用いることなく、内容で納得させたい、と思っていました。
仕事柄、理屈で勝負したかっただけかもしれません。
今も基本的にはそう思っています。
けれど、時間にも精神的にも余裕のないとき、自分の(著しく不合理な)ルールに固執するNANAに対し、「とにかく、親の言うことを聞きなさい」と言いたくなることもしばしばです。
「あのな、NANA、大人が正しいとは限らんけどな、でも君より長く生きている分だけ『経験』がある。だから、正しい判断をしているほうが多いと思うよ」とは、最近、TOTOがよく使うフレーズ。
まさに、「オレの話をきけ〜」ですが、本人はいたってマイペース、「オレ流」にこだわります。
そんな我が家ですが…
先日、NANAと書店に出かけたとき、「ママ、これ、すごいわぁ」と本を持ってきました。
『幕末年表帖』という、いかにもNANAが気に入りそうな本でした。中には、幕末動乱期に起こった出来事が「日」単位で列挙されています。
と、「ママ、あの人が殺されたのはいつやった?」
さすがに、この問いにズバリ答えることはできません。
「あの人って?坂本龍馬?大久保利通?」
「違う、もっと早い時期。幕府に反対した側で、もっと有名じゃない人で…えっと、誰やったっけ…そう、清川八郎!」
あぁ、なるほど…
昔からなのですが、NANAはどうも、清川八郎が気になって仕方ないようです(このあたりの「こだわり」も独特です)。
上洛する将軍警護を名目に、江戸で浪士組を募って京へ連れていき、到着するや、「本当の目的は将軍警護ではなく、尊皇攘夷である」と大どんでん返し発言をし、周囲をあっと驚かせた清川八郎…「攘夷決行」のために江戸に戻ると宣言する清川に異を唱え、京に残留したのが後の新撰組です。新撰組ファンのNANAにしてみれば、好きではないしても、かなり気になる存在ではあるでしょう。
「清川八郎が殺されたのはいつやった?」
年表を手にして、一番に年月日を確認したいのは、その事件か…?!
清川が殺されたのは江戸に戻って間もないころです。もちろん、私は年月日まで覚えていませんが、浪士組が上洛したのは確か…
「文久3年のはずや」
「文久っていわれても…」
まぁね、でも年表には、ありがたいことに、西暦と元号が併記されています。
「あぁ、1863年かぁ…何月?」
「上洛は2月やね、2月末」「23日や」とすぐにNANAが見つけます。
「で、すぐに江戸へ引き返して、斬られるわけだから…4月ごろかな」
しばらくして、「すごいな、ママ、4月13日やで」と本を見せてくれました。
久しぶりに、尊敬のまなざし…ちょっぴり、親の権威を示した瞬間でした。
やれやれ…
しかしまぁ、こんなことか、ピンクレディーの振り付けか、昔の野球選手の話ぐらいでしか、尊敬してもらえないのも情けない…

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