本日のレッスン1人。
月曜日は本来休みの日ですが、今日は川口君のレッスンです。彼は明日の夜中に福井に車で出立します。夜は近所の方が彼を食事に招待して下さいました。ありがたい事です。
サッカーの試合を明け方6時近くまで見ていたので、昼間は本調子ではありませんでしたが、レッスンで元に戻りました。
曲目はモーツアルトのAbendempfindung「夕べの思い」です。彼はいつものパターンですが、用心深く繊細な小さい声で歌い始めました。この曲は繊細さの極致とでも云うべき声と表現を要求する曲ですが、鳴らない声で小さく歌ってもそれでは表現になりません。正しい声帯の使い方をしないとお腹と繋がりません。いつも生徒に注意する事は、喉声や団子声を出している時は、100%お腹と声帯の働きが繋がっていないと云う事です。今回のケースでは、彼は鳴らないところを小さい声で歌っていますが、これも結局お腹を使って歌っていないのです。
こういう種類の曲は、声のポジションを高く取って、深い位置から息を混ぜてふわっとしたところで線の上に乗せて歌わなければいけません。この時大事な事はお腹をいつもの倍使う事です、超繊細な曲だからこそ目一杯体を使います。そして喉は芯のあるところをはずして使ってはいけません。こう書いても理解するのは難しいでしょうね、これがわかるようになれば大したものです。
川口君にはお腹を使って少し大きい声で歌うように注意したら、それだけで良くなりました。後は音楽の事。日本人にはモーツアルトを演奏する時の大事な感覚がないのです。非常に細かくなるので今回は省略しますが、この感覚を身につけるようドイツで勉強するしかないですね。こういった曲の名演を日本人から聞く事は極稀です。
最後にドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」からネモリーノのアリア「一雫の涙」を歌って貰いました。ドイツ歌曲からアリアへ移るときは感覚を素早く切り替えなければいけません。全く別物ですから。その切り替えが上手くなくて、歌曲の発声がつい残ってしまっています。お腹を使って喉を真ん中で鳴らして歌うという事を徹底して注意したら、最後は俄然良くなりました。かれは歌唱時にまだ喉頭の位置が上にあるので、少し下がっている状態で歌えるように訓練していく必要があります。この問題が解決したら、もっともっと素晴らしい声になります。
ドイツ物ではドイツ人の優れたテノールとは中々勝負になりませんから、我々はイタリア・オペラを武器にしなければいけません。これは常々テノールの生徒には言ってる事です。
今回は此れまで。