2011/5/29
読了(3) 英語教育
最後は本業関連。
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『<意味順>英作文のすすめ』(田地野彰(著)岩波書店)
岩波ジュニア新書の新刊。勤務校の図書館にも入っていた。
『「創る英語」を楽しむ』以来、田地野先生の「意味順」は、自分でも授業に取り入れさせていただいている。「意味順」の意義は、何と言っても英文法全体の見取り図を与えるところだろうと思う。
中学校ではいろいろな文法事項を扱うが、個々の項目が英文法のシステム全体の中でどこに位置するものなのかは、生徒に当然見えにくいのは当然としても、教科書での配列も、動詞句に関わる項目、名詞句に関わる項目、節に関わる項目などがバラバラに出てきて、統一感はあまりない。
教科書の場合はそれなりの意図があってそのような配列に編集してあるはずだから、まあ良いのだけれど、教える方としては、きちんと整理をつけておいたほうが良いと思う。私も、ある程度文法事項がそろってきたところで、再度動詞句に関わること、名詞句に関わること、などを整理して復習する機会を、ちょくちょく作るようにはしてきた。
本書は、特に岩波ジュニア新書ということで、前著にもまして平易に書かれているし、「ボックス」の配列だけでなく、「ボックス」の中身=個別の文法事項について丁寧に解説されている。中高生はもちろん、教員も読む価値がある本だと思う。
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『口語英文法の実態』(小林敏彦(著)小樽商科大学出版会)
この本は勉強になった。英語でも書き言葉と話し言葉が違うということは、英語教員なら誰でも知っている事実だと思うが、では具体的に何がどう違うのかと言われると、私自身は、体系立った理解はしていなかった。
本書を読むと、語句が省略されるにも、どういった環境では省略されることが多いのか、とか、口語的な言いまわしが聞き手にどのような印象を与えるのか、とか、口語ならではの規則性や使用上の注意が手際よく解説されていて、とてもためになる。
特に、口語だからこそ余剰性が必要だという説明にはハッとさせられた。英語授業でも会話など音声面の指導は昔に比べれば格段に手厚くやるようになっていると思うが、そこで教材として取り上げる英語は、書き言葉的なものを気楽に転用してきたのではなかったか。少なくとも自分自身は、その辺りに無自覚であったように思う。
そう考えてみると、中学校の教科書では会話文が多いが、最小限の発話でスムーズに話が進んでしまう例が多い。授業者の側で補っていくべき部分であろうかと思う。
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『英語動詞の統語法 日英語比較の新たな試み』(秦宏一(著)研究社出版)
これは本当に読むのに苦労した。
2009年3月刊で、私は2010年1月に本書を入手。そこから読み始めたのだけれど、ものすごく読みにくくまた難解で、一気に読み通す努力はことごとく失敗した。
まず、レイアウトが見づらい。ページ数を抑えるためだとは思うが、用例が全て追い込みの形で並んでいるのが見づらかった。
また、内容についても、英語学にある程度は通じている人を想定して書かれているようで、痒いところに手が届く、といった類の解説ではなかった。
たとえば、用例のどの部分が解説で述べられていることを表しているのかが一目瞭然でなかったり、あるいは、英文法をとらえる枠組みにしても、普通の学校文法に親しんだ者にとっては新奇に映るものだが、手ほどき的な解説がなく、いちいち立ち止まって、苦労しながら頭のチューニングを合わせる必要があった。
と書くと、いかにも良くない本のように聞こえるだろうが、実は全く逆。それだけの苦労をしてでも読み進めたいという意欲を失わない本だった。
記述的なアプローチの文法にはわりと親しんできたし、チョムスキー流の生成統語論も多少はかじったので、それなりに多様な視点から英文法をとらえることはできるつもりでいたが、そんな薄っぺらな自信はあっさりと吹き飛んでしまった。
私はどちらかというと、文法の個別事項よりも一般法則の方に興味があるのだが、個別事項の個別的な現象をつぶさに眺めなければ、実は一般法則も見誤ってしまうのではないかという、そう言ってしまえば当たり前のことに気づかされた。
一度通読しただけでは、まだ全然理解の及んでいない部分が多い。付箋をいっぱい貼りまくっているので、折にふれ読み返していきたい。
6
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『<意味順>英作文のすすめ』(田地野彰(著)岩波書店)
岩波ジュニア新書の新刊。勤務校の図書館にも入っていた。
『「創る英語」を楽しむ』以来、田地野先生の「意味順」は、自分でも授業に取り入れさせていただいている。「意味順」の意義は、何と言っても英文法全体の見取り図を与えるところだろうと思う。
中学校ではいろいろな文法事項を扱うが、個々の項目が英文法のシステム全体の中でどこに位置するものなのかは、生徒に当然見えにくいのは当然としても、教科書での配列も、動詞句に関わる項目、名詞句に関わる項目、節に関わる項目などがバラバラに出てきて、統一感はあまりない。
教科書の場合はそれなりの意図があってそのような配列に編集してあるはずだから、まあ良いのだけれど、教える方としては、きちんと整理をつけておいたほうが良いと思う。私も、ある程度文法事項がそろってきたところで、再度動詞句に関わること、名詞句に関わること、などを整理して復習する機会を、ちょくちょく作るようにはしてきた。
本書は、特に岩波ジュニア新書ということで、前著にもまして平易に書かれているし、「ボックス」の配列だけでなく、「ボックス」の中身=個別の文法事項について丁寧に解説されている。中高生はもちろん、教員も読む価値がある本だと思う。
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『口語英文法の実態』(小林敏彦(著)小樽商科大学出版会)
この本は勉強になった。英語でも書き言葉と話し言葉が違うということは、英語教員なら誰でも知っている事実だと思うが、では具体的に何がどう違うのかと言われると、私自身は、体系立った理解はしていなかった。
本書を読むと、語句が省略されるにも、どういった環境では省略されることが多いのか、とか、口語的な言いまわしが聞き手にどのような印象を与えるのか、とか、口語ならではの規則性や使用上の注意が手際よく解説されていて、とてもためになる。
特に、口語だからこそ余剰性が必要だという説明にはハッとさせられた。英語授業でも会話など音声面の指導は昔に比べれば格段に手厚くやるようになっていると思うが、そこで教材として取り上げる英語は、書き言葉的なものを気楽に転用してきたのではなかったか。少なくとも自分自身は、その辺りに無自覚であったように思う。
そう考えてみると、中学校の教科書では会話文が多いが、最小限の発話でスムーズに話が進んでしまう例が多い。授業者の側で補っていくべき部分であろうかと思う。
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『英語動詞の統語法 日英語比較の新たな試み』(秦宏一(著)研究社出版)
これは本当に読むのに苦労した。
2009年3月刊で、私は2010年1月に本書を入手。そこから読み始めたのだけれど、ものすごく読みにくくまた難解で、一気に読み通す努力はことごとく失敗した。
まず、レイアウトが見づらい。ページ数を抑えるためだとは思うが、用例が全て追い込みの形で並んでいるのが見づらかった。
また、内容についても、英語学にある程度は通じている人を想定して書かれているようで、痒いところに手が届く、といった類の解説ではなかった。
たとえば、用例のどの部分が解説で述べられていることを表しているのかが一目瞭然でなかったり、あるいは、英文法をとらえる枠組みにしても、普通の学校文法に親しんだ者にとっては新奇に映るものだが、手ほどき的な解説がなく、いちいち立ち止まって、苦労しながら頭のチューニングを合わせる必要があった。
と書くと、いかにも良くない本のように聞こえるだろうが、実は全く逆。それだけの苦労をしてでも読み進めたいという意欲を失わない本だった。
記述的なアプローチの文法にはわりと親しんできたし、チョムスキー流の生成統語論も多少はかじったので、それなりに多様な視点から英文法をとらえることはできるつもりでいたが、そんな薄っぺらな自信はあっさりと吹き飛んでしまった。
私はどちらかというと、文法の個別事項よりも一般法則の方に興味があるのだが、個別事項の個別的な現象をつぶさに眺めなければ、実は一般法則も見誤ってしまうのではないかという、そう言ってしまえば当たり前のことに気づかされた。
一度通読しただけでは、まだ全然理解の及んでいない部分が多い。付箋をいっぱい貼りまくっているので、折にふれ読み返していきたい。
6
2011/6/3 0:08
投稿者:山岡大基
2011/6/2 20:42
投稿者:東京の英語教員
山岡先生
初めまして。私は東京の私立学校(小中高一貫)で英語教員をしている工藤と申します。
実は今同僚の英語教員と英語科の教科会を行っていて、偶然にも山岡先生の「地道にマジメに英語教育」を拝見させて頂き、「素晴らしい!」を連発していたところです。我々の学校では教科研究に力を入れており、未熟ながらも公開研究授業なども行っていたりします。
そんな我々が山岡先生のご意見を拝見していて、非常に興味深く、そして様々なところで「その通りだ!」と言いたくなる、ある種の高揚感を感じています。お忙しいとは思いますが、もしよろしければぜひネット上だけで構いませんが、様々な意見交換ができればと思い、意を決して書き込みをさせて頂きました。お時間がある時で結構ですが、もしメールを頂ければ幸いです。
工藤
初めまして。私は東京の私立学校(小中高一貫)で英語教員をしている工藤と申します。
実は今同僚の英語教員と英語科の教科会を行っていて、偶然にも山岡先生の「地道にマジメに英語教育」を拝見させて頂き、「素晴らしい!」を連発していたところです。我々の学校では教科研究に力を入れており、未熟ながらも公開研究授業なども行っていたりします。
そんな我々が山岡先生のご意見を拝見していて、非常に興味深く、そして様々なところで「その通りだ!」と言いたくなる、ある種の高揚感を感じています。お忙しいとは思いますが、もしよろしければぜひネット上だけで構いませんが、様々な意見交換ができればと思い、意を決して書き込みをさせて頂きました。お時間がある時で結構ですが、もしメールを頂ければ幸いです。
工藤


過分なお言葉をちょうだいし恐縮です。
こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
メールを送らせていただきましたので、ご確認いただければ幸いです。